Yumiki blog

ジャングルジムの頂

平野紗季子さんのポッドキャスト番組「味な副音声〜voice of food〜」の最新回を聴く。
ゲストは作家の小原晩さん。

お二人とも大好きな作家で、うれしい共演だった。

番組は、わたしが小原さんの作品の中でも特に好きな、ジャングルジムのエッセイの話に。

その一節をもう一度読み返す。

だから、迎えに来てほしい。呆れた君が私を見上げて、仕方なしに「ごめんね」と謝ってくれるまで、私はここから降りるつもりはない。私を迎えに来ることができるのは、君しかいないのだから。私が待っているのは、君なのだから。
ジャングルジムの頂より愛を込めて
──小原晩『ここで唐揚げ弁当を食べないでください』

以前、わたしがnoteに発表した「わたしの唐揚げ弁当を返して」という短編小説も、この作品をめぐるものでした。

https://note.com/yumikitsutsu23/n/na6ee95c86a05

迎えに来てほしい、と思う気持ちについて考える。

それは、ただ会いたいということとは違う。
自分ではどうにもできない場所にいて、そこから降りるきっかけを、誰かに手渡してほしいと願う気持ち。誰か、と書いたけれど、もちろん誰でもいいわけではない。

その場所まで来てくれて、わたしがまだそこにいることを見つけてくれて、呆れながらでも手を差し出してくれるひとでなければならない。

そうするしかない瞬間がある。
自分で降りてしまったら、少し違ってしまうような気がする瞬間が。

迎えに来てほしい、という願いの中には、たぶん許してほしい、も混ざっている。

怒られてもいい。呆れられてもいい。
でも、見つけてほしい。ここにいると知ってほしい。そしてこんなわたしを許してほしい。

そういう気持ち。

小原さんの文章を読むと、そのわがままさも、その切実さも、ぜんぶひっくるめて差し出されているように思う。

だからこの文章を読むたび、わたしの中の、まだ迎えを待っているこころが灯る。